格安の国際航空券を探していると、往々にして中国東方航空のチケットが見つかります。安くて嬉しいけど、安すぎてちょっと心配。そこでネット上で評判を調べてみたら、これがすこぶる悪い。「中国東方航空 やばい」という検索ワードもあります。はてどうしたものか。
この記事は、そういう人のためのものです。私は、2024年3月のスリランカ旅行の際に中国東方航空を4回利用しました。具体的には、往路で羽田空港→上海浦東国際空港→バンダラナイケ国際空港の2回、復路でバンダラナイケ国際空港→昆明長水国際空港→成田国際空港の2回です。
この経験を基にして、2024年3月時点で最新の中国東方航空のことを書いておきます。結論からいえば、口コミサイトの評判なんか無視して、中国東方航空をぜひとも利用するべきです。
中国東方航空とは
中国東方航空(China Eastern Airlines)は、世界で7番目に大きい航空会社とされ、一説には利用者数では世界5位とも言われています。乗客数は年間で1億人超え。2010年に上海航空を買収したため、チェックインカウンターなどでは両社のロゴが併記されています。
中国東方航空はスカイチームに加盟する航空会社ですが、日本ではワンワールド系のJALと様々な提携を行っています。搭乗すれば、JALマイルを貯めることもできます。スカイチームなので、デルタ航空のマイルでも貯められます。
中国東方航空のサービス
中国東方航空の航空券は安いですが、LCCではありません。フルサービスキャリアなので、他のフルサービスキャリアと同じく、以下のサービスが付いています。
荷物
機内持ち込み荷物1つ、預け入れ荷物は2つまで無料です。JALなどと同じ基準です。
機内食
あります。飲み物もあります。口コミサイトでは美味しくないとの評判もありましたが、私は4回とも美味しいと思いました。たとえ美味しいとまではいかなくても、食べられないなんてことは全くありませんでした。
機内エンターテインメント
ある場合とない場合があります。横に10席ある大型機では個別スクリーンがありましたが、横6席の中型機ではありませんでした。スクリーンがある場合は、最新のハリウッド映画や中国映画などを見ることができます。ラインナップは少なめです。
機内Wi-Fi
機内Wi-Fiは無料です。ただし、私のスマートフォンでは上手くいかなくて使えませんでした。なお、中国東方航空ではスマホ等を使うことが許可されていないとの口コミがありましたが、それは2018年以前の話。現在は機内モードにしていれば使って構いません。
リンク:中国の航空会社 国内線機内でのスマホやWiFiが全面利用可能に 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News
毛布貸し出し
CAの人に言えば無料で毛布などを貸し出してくれます。
中国東方航空の安全性
チケットが安くても安全でなかったら意味がありません。中国東方航空の安全性に関しては微妙な事情があるので、この項を読んでご自身で判断してください。
AirlineRatingというサイトでは、全世界の航空会社の安全性を7段階で評価しています。このサイトにおいて、中国東方航空の安全性評価は星3つ。大手航空会社は大体星7つなので、かなり厳しい評価です。
リンク:China Eastern - Airline Ratings
このような低評価の原因は、2022年3月の事故があります。同サイトでは、過去10年間、無事故だったか否かで星3つ分の評価が決まるので、中国東方航空はこの事故のせいで星を3つ失っています。別の項目でも、この事故で1つ星を失っているので、合わせて3つ星評価に留まっています。
逆に言えば、この1件の事故を除けば、安全性は十分だということです。このブログによれば、2019年時点では5年連続で7つ星満点だったそうです。BBCニュースでも航空会社の安全性は良好で、それ以前の大きな事故は12年前だったと書かれています。
2022年3月の事故では、乗員乗客132人が全員死亡しました。これは中国東方航空にとって史上最大の事故です。フライトレコーダーの解析により、事故の原因はパイロット個人の問題にあり、整備不良などではなかったとされています。
この事故をどう見るかは個人の判断にお任せします。1回限りの不幸な事故と見るか、中国東方航空自体の課題が露呈したと見るか。そこまでは私には言えません。
単純に統計的に考えた場合だけ提示しておきます。2022年に限っても、搭乗者1億人強に対して死亡者約100人。割合にして100万人に1人です。しかも、それ以前の死亡事故は2004年なので、割合はもっと低く見積もることができます。もし、中国東方航空に搭乗することを決めたなら、このデータを心に留めて安心していただければ幸いです。
中国東方航空の遅延状況
中国東方航空のネット上の評判では、もっぱら遅延しがちだと言われています。私の経験では、4回の搭乗で出発が大幅に遅れたことはなく、到着も30分遅延が1回あっただけでした。
こればっかりは、色々な人の状況を参考にするしかないかもしれません。海外のあるサイトによると、コロナ前の定時運航率は70%とされています。JALの国際線がちょうど80%なので比べると分が悪いですが、チケットの安さを考えれば妥当という気がします。遅延した場合も想定して、その際に何をすべきかは事前に確認しておくと良いでしょう。
中国東方航空はLCCではないので、大幅な遅延があった際には保障があり、乗り継ぎに失敗したら振り替えもあります。欠航の場合は払い戻しが受けられます。同じ航空機に乗った人で同じトラブルを抱えた人もいるかもしれないので、協力などもして中国東方航空のカウンターに問い合わせたりしてみてはどうでしょう。
リンク:【2020年版】中国東方航空の遅延時の振替・払い戻し方法 - How To TRAICY
あと、常識として国際線の乗り継ぎは少なくとも3時間はあった方が良いと思います。中国東方航空に限らず、1時間程度の遅延で乗り継ぎに失敗するようなスケジュールはリスクが高いです。空港ごとに設定されている最低乗り継ぎ時間(ミニマム・コネクティング・タイム、MCT)を下回っていたら、然るべき補償も受けられません。
その他の懸念事項
その他、中国東方航空に関して懸念されているかもしれないこと、またネット上の評判で目にしたことについて書いておきます。
CAについて
CAはいずれもちゃんとした人です。愛想が特別悪いということもありません。日本発着便だと日本語を話せる人もいるようですが、自分は毎回英語を使ってしまいました。当然ながら、日本人は見た目だけでは中国人と見分けが付かないので、最初は中国語で話し掛けられます。それに英語か日本語で返せばすぐに言語を切り替えてくれます。
一度、日本発着ではない便で男性のCAに中国語で話し掛けられたので、英語でお願いしますと返すと、英語で「ごめんなさい。どこの人なの?」と元気に訊かれました。日本人ですと言うと「中国人に見えたよ!」と元気に言われました。とても気持ちの良い人でした。
乗客について
中国人の乗客がうるさいという評判をよく見かけました。確かに少しうるさい人もいましたが、どうしようもなくうるさいと感じた人はいませんでした。多少うるさいくらい喋るのは中国の文化です。むしろ日本人が静かな環境に慣れ過ぎているだけなので、それを許容できないんだったら中国の格安航空会社を使うのはやめてください。お互いのためになりません。
チェックインについて
強いて気になったことといえば、チャックインカウンターが混みがちだったことです。特に、中国に向かう便では中国客の荷物が多く、チェックインに時間が掛かっているように見受けられました。それでも、自分のチェックインは全く問題なくできたので、個人的には不満はありません。チェックインの混雑が嫌なら、ビジネスクラス以上に乗るべきだと思います。
ちなみに、チェックインは中国の人ではなく現地の人が行っています。つまり、日本の空港では日本人、スリランカの空港ではスリランカ人がやっています。いずれにしても現地語か英語、あるいは中国語で手続きができます。飛行機に乗る前に心配なことがある人は、日本の空港でのチェックインの際に日本語で訊いておくと良いでしょう。
まとめ
以上、中国東方航空に実際に搭乗した経験をもとにして書きました。まとめると、中国東方航空はフルサービスキャリアなので、基本的なサービスはJALやANAなどと同じ。機内エンターテインメントは不十分。遅延はしがちなのかもしれない。2年前に大きな事故があった。そんなところです。
これらを踏まえて、中国東方航空に搭乗するかどうかを決めるのはあなた次第です。事故が心配ならやめれば良し。もっと快適な旅行をしたければ、別の航空会社を選べば良し。それだけの話です。値段に見合うかどうかの判断はお任せします。
私自身は、このチケットの値段でこれだけのサービスが受けられたので、全く不満はありませんでした。口コミサイトは何か不満があった人が書くところなので、必然的に評判が悪くなってしまったのかもしれません。確かに最上級のサービスではないかもしれませんが、安さを考えれば十分すぎるほどだと私は思いました。一つの参考意見にしてください。